《
ボヘミアの醜聞
》13
「御者は速く駆った。僕はこれ以上飛ばした記憶はない 、しかし相手はそれより先に着いていた。辻馬車とランドー馬車と汗だくの馬 、それらがドアの前にいた 、僕が到着したとき。僕は金を払い教会の中へ急いだ。他には誰も居なかった 、僕が付けてきた二人と白い法衣を着た牧師以外 、牧師は二人をたしなめているように見えた。3人は皆祭壇の前に固まって立っていた。僕は側廊をゆっくりと歩いた 、関係ない浮浪者がちょっと教会に立ち寄った風に。突然 、驚いたことに 、祭壇にいた3人がこちらを振り返り 、ゴドフリー・ノートンが全力疾走してこちらに向かってきた」
「『ありがたい』 、彼は叫んだ。君でいい、来てくれ!」
「『何事ですか?』 、僕は訊いた」
「『来てくれ 、君 、来てくれ 、3分だけでいい 、そうしないと法的に無効になるのだ』」
「僕は半分引きずられるようにして祭壇まで登らされた 、状況が飲み込めないまま 、耳元でささやかれた通りに返答し 、何一つ知らないことの保証人となり 、要するに援助していた 、結婚を成立させる 、未婚女性アイリーン・アドラーと独身男性ゴドフリー・ノートンの。それはすべて一瞬のことだった 、僕の片側には礼を言っている男が 、反対側には女性が 、牧師は正面で僕に微笑みかけている。それは最もばかばかしい立場だった 、僕が生まれてから陥った中で 、このことを考えて 、僕は今しがた笑い出した。どうやら 、彼らの結婚許可を出すのになにか形式が整わない点があった 、それで神父は断固として彼らの結婚を拒否した 、誰か証人の立会いなしには 、そこへ僕が上手い具合に現れたので新郎は助かった 、路上に飛び出して介添え人を探さなくてよくなった。新婦は僕にソブリン金貨をくれた 、この出来事の記念に懐中時計の鎖につけて持ち歩くつもりだ」