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空にぽっかりと浮かぶ雲。むくむくと湧き上がる雲。 雲には様々な表情があり、また、その雲を表現する「数え方」も実にたくさんあります。そして、多くの作家が様々な雲を作品の中に登場させています。
在天空漂浮着的云朵。密密麻麻簇拥的云朵。云不但有着不同的表情,事实上,为了表现云朵的“量词”也有许多。而且,很多作家在作品中也描绘了各式各样的云。
雲の数え方は、ほとんどが雅語的表現で、数えると言うよりも形態を表す言葉として使われ、また、厳密に使い分けされる訳ではありませんが、ここでは、どのような雲がどのように作品に登場するかを見てみます。
云的量词几乎都是用雅语来表现,比起数数量,更多的是作为表现形态的语言来使用。虽然没有严格的区别,我们还是来看下不同作品里的不同云朵吧。
「雲の数え方」(雅語的表現)
“云的量词”(雅语表现)
一片 一点 一抹 一切 一本 一筋 一条 一流 一刷毛 一朶 一塊 一群 一叢 一簇 一団 一座 一道 一つ
細かく小さな雲
零碎的小云朵
下村湖人「次郎物語 第二部」
真っ青な空には、一ひらの白い雲がしずかに浮いていた。
点のような細かく小さな雲
像点一样细小的云
岡本かの子 「母と娘」
今朝は晴れて一点の雲もありません。村人達は昨晩の天災の残した跡を修理に忙がしがって居ます。
画筆でなすった程度のほんのわずかな雲
仿佛用画笔擦一下的微小云朵
太宰治 「道化の華」
夜が明けた。空に一抹の雲もなかつた。
細かく小さな雲
零碎的小云朵
種田山頭火 「行乞記 (三)」
曇、だんだん晴れて一きれの雲もない青空となつた、照りすぎる、あんまり明るいとさえ感じた。
飛行機雲などのような、長い筋状の雲
像飞机云那样,长的筋状云
亜木満 「まゆの花」
一万メートル以上の上空を、四本の飛行機雲を残して音もなく飛行して行くのが見えた。確かにB29だ。
長く延びる筋状の雲
拖得很长的筋状云
鳥居民 「昭和二十年第一部(2) 崩壊の兆し」
十一月三日の昼すぎ、名古屋の人びとは、はるかな上空を一筋の飛行機雲を残して東から西へ飛んでいく飛行機を仰ぎ見た。
流れるような長い帯状の雲
仿佛在流动的长条带状云
宮本百合子 「夏遠き山」
丁度、月の光りに浸された原野の真上のところに、二流れ黒雲があった。細く長く、相対して二頭の龍が横わっている通りだ。
刷毛で描いたような雲
像用刷毛绘出的云
小栗虫太郎 「白蟻」
その時、あの滅入るような黄昏が始まっていた。八ヶ岳よりの、黒い一刷毛はけの層雲の間から、一条の金色をした光が落ちていて、それは、瀑布をかけたような壮観だった。
かたまりのようになっている雲
聚成团的云
司馬遼太郎 「坂の上の雲 第一部あとがき」
のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。
かたまりのようになっている雲
聚成团的云
堀辰雄 「菜穂子」
南の方はもうすっかり晴れ渡り、いつもよりちかぢかと見える真向うの小山の上に捲き雲が一かたまり残っているきりだった。
群のようになっている雲
成群的云
有島武郎 「カインの末裔」
昆布岳の一角には夕方になるとまた一叢(ひとむら)の雲が湧いて、それを目がけて日が沈んで行った。
一つのまとまりのようになっている雲
仿佛是一整个的云
芥川龍之介 「じゅりあの・吉助」
彼の頭上の天には、一団の油雲が湧き出でて、ほどなく凄じい大雷雨が、沛然(はいぜん)として刑場へ降り注いだ。
山を一座と数えることから、入道雲のように山のような形の雲
形容像积雨云那样形状像山的云
田原徹夫「2007年7月29日朝日歌壇より」
そそり立つ入道雲の一座見ゆ周防灘をどっかと跨ぎ
天に向かって延びているような雲
向着天空延伸的云
ハンス・クリスチアン・アンデルセン 森鷗外訳 「即興詩人」
斜に空に向いて竪立(じゅりつ)せる一道の黒雲あり。形は円柱の如く、色は濃墨の如し。
「雲一つない …」などの表現で
用于表现“万里无云”等情况的时候
坂口安吾 「桐生通信」
関東側よりもむしろ澄みきった太陽が雲一つない青空にさんさんとかがやいている。
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