中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号」(ADORA MAGIC CITY)は、今年1月1日に商業運航を開始して以来、すでに50回以上の航海を行い、20万人以上の旅客を運び、中国全体のクルーズ旅行市場の約40%を占めるに至っている。
国産クルーズ船で世界を巡ることは、現在のトレンドとなっている。
■クルーズ船ブームで、港湾都市観光も人気に
クルーズ船は海外旅行に行くための手段であるだけでなく、大半の旅客が乗船前や下船後に数日間寄港地の上海で観光を楽しんでいる。クルーズ船自体がブームになっているだけでなく、港湾都市の人気にも火をつけているのだ。
上海市文化観光局の統計によると、今年1-6月に上海呉淞口国際クルーズ港では延べ89隻のクルーズ船が寄港し、延べ約59万2700人の旅客を迎え入れた。これは中国全体のクルーズ船旅客受け入れ数の約7割を占める。現在、上海呉淞口国際クルーズ港はアジア首位、世界第4位のクルーズ船母港へと躍進。今年は年間で延べ約260隻のクルーズ船が寄港し、延べ150万人の旅客を受け入れる見通しだ。
クルーズ船産業チェーンは、旅行消費の他にも大きな経済成長をもたらしている。
クルーズ船の貨物エリアでは、何トンもの野菜や果物が船に積み込まれていた。5泊6日の航海をするためには、200万元(1元は約20.5円)以上の物資を調達する必要がある。
愛達郵輪(Adora Cruises)調達部門責任者の馮悦氏によると、物資には野菜、果物、アルコール類、乾燥食品や、ホテルの運営用品、消耗品、紙ナプキンなどが含まれ、年間の調達額は約2億元に上る。
積み下ろし現場にいた物資供給業者によると、上海がクルーズ船の母港になったことで、地元の経済・産業に新たなチャンスが訪れ、多くの地元製品が新たな販路を獲得したという。
「愛達・魔都号」以外にも、上海呉淞口国際クルーズ港は「MSCベリッシマ」「ブルー・ドリーム(Blue Dream)」など、さらに4隻のクルーズ船を受け入れる予定だ。大量の物資需要は調達業界を牽引するだけでなく、強大な運輸業、倉庫業、そして国の新たな政策支援を必要とする。